デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

しばらくして。

だんだんと熱が引き始めたその白い体を、王はきゅっと抱きしめた。

はあ……と満足げなため息が、桜の黒髪を揺らした。

優しい体温に包まれて、桜はくっと唇を噛む。

どうしてこんなに幸せなんだろう。

満たされて、幸せすぎて。………だから余計に悲しい。その絶望が深い。

眉を寄せて目をつぶり、彼の胸に額をつける。

この温もり。私にとっては永遠と言えるくらいに大切なのに、この人にとっては一瞬になってしまうのか。

そして……私がこの人の中からいなくなったその後に、またこんなふうにして、体温を分け合う女性が。

冷静になっていく頭が、悲しみを思い出した。

また涙が浮かぶが。

「さて……冷めてしまったかも知れんな。夕餉をとろうか、桜」

ぽんぽんと優しく自分の頭を叩いて、王がゆっくりと起き上がるから、あわててそっとシーツでそれを拭った。

「私は別に食事をとらずに、お前とこうしている方が良いのだがな……。お前の方はそうはいかぬからな。夜はまだこれからだ。ヘバられても困る」

ちゅっ、と額にキスをして、シャツをかぶった。