日がとっぷりくれる頃、部屋の戸が叩かれた。

「失礼いたします……。我が君、夕餉をお持ち致しました」

まだ先程までの時間の余韻が残る寝台の中で、また寵姫の白い身体を組み敷いていた彼は、チラリと目線だけで薄布の帳の向こうを見やる。

口づけていた白い胸の肌を強く吸って、赤い印をもう一つ刻んだ。
そして身を起こして、彼が何度も与える悦楽に、熱が上がった真っ赤な顔で荒い息を繰り返す桜を見た。

汗ばんだとろんとしたその表情に、またゾクリと嗜虐を含んだ欲望が腰に這い上る。

フッと顔を歪めて笑った。

「ああ。……入れ。いつものように、ソファの前に膳を置け」

その返事に、「えっ……」と桜がわずかに身を固くして、あわてて布団の中へ潜り込もうとするが。

それより速くその両手をつかんで、身動きを封じた。

唇と舌が、その肌の上でまた動き始めた。

「やっ……王様………女官さんが………」

「この寝台には帳が降りている。大丈夫だ」

「嘘……透けるじゃないですか……」

「影だけで、見えはしない」

「そんな……っあ、やぁ……」

くくっと笑いかけた。

「そら……声を抑えぬと、丸わかりだぞ」

「うっ……」

手で口を塞ぐことも出来ず、ひたすら唇を結んで目を閉じ震えている。