デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「え?」

いきなりの質問にびっくりする桜に、少しいたずらっぽい表情をする。

「神児であるこの私を差し置いて、あなたの心を射止めた、その幸運な男性ですよ。一体誰なんですか?」

とたんに赤面する黒髪の少女。

「ああ、あなたには王も執心していたんでしたね。ほんとに、なんて人でしょうね、あなたは。さ、教えてください。その人には神力でイタズラの一つもしてあげないと、気がおさまりません」

クスクス笑う美しい神児に、ますます真っ赤になった。

「あ……えと……」

「ほら、早く」

パタパタと手で顔をあおぎながら、桜はしどろもどろで白状した。

「そ……その……じつは、私も……その…王様の…ことが…」

「―――え?」

エヴァが目を見開き、静かに固まった。

「王様を、好きになっちゃって……」

「…………」

するとそのアイスブルーの瞳の表情が、驚きから急激に冷静なものに変わっていく。
どこかそれは、人の子が踏み込むことのできないような冷たさをもって。

「……王は、あなたの気持ちは?」

「し…知ってます……」

下を向いて、耳まで赤くなる。


しばらく、沈黙が降りた。


「―――桜さん」

あくまで静かな、エヴァの声。

「?はい……」

「あなたを心から愛する者として、かつて恋した者として……そして神児として、あなたに忠告します。王は、王だけはやめておきなさい」