デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

すっかり食欲がなくなり、早々に食事を切り上げた。

まるで意思のない人形のような女官たち。

そして、赤子のころからそんな者たちに囲まれ、これからもそうやって生涯を送るエヴァ。

あのまだ幼さを残した神児が、自分の訪問をどんなに楽しみにしていたか。

(もっとたくさん、小鳥のお便りをすればよかった)

遠慮がちなあの表情の下に、『人間らしさ』へのどれほどの憧れを隠していたのだろう。

真っ白な世界に生きるエヴァにとって、桜はきっと極彩色の存在に思われたに違いない。

切なくなって、桜は一度目をつぶり、分化の間へ向かう。

そっと、重厚な扉にまた手を触れた。

「エヴァさん……あのね、王宮に帰ったら、エヴァさんに贈り物をしますから。そうだなあ、いろんな色の花を使った花束と……あと、なるべくきれいな髪紐を作ります。必ず毎年、あなたに贈ります」

とん、と額をそこにつける。

「約束しますからね。だから、早く出てきてね」

小さく微笑み、静かに部屋に戻っていった。