デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

神宮での最後の夕餉をとりながら、桜は相変わらず無表情な女官に尋ねた。

「あの、エヴァさんがお部屋から出てくるのって、いつ頃なんですか」

退出しようとしていた女が、化粧っ気のない素顔の、口元だけを動かす。

「……分化の間に入られたのが、一昨日の昼を二刻ほど過ぎた時間でございましたゆえ……そのあたりかと」

「あ、そうなんですか」

「本来なれば、分化のお熱が出始めた時点で分化の間にお籠りになりますが、神児様のたってのご希望でございましたゆえ、その時間になりましょう」

「…………」

やっぱり何か、チクリと刺さる気がする。

「あの……私やっぱり、皆さんにご迷惑でしょうか……」

蚊の鳴くような声で、おずおずと聞く。

「ご客人様が、そのような事をお気になさる必要はございませぬ。神児様があなた様を存分にもてなせと私共に命じた、それが全てでございます」

「いやでも……女官さんたちはそうかもしれないけど、私からしたら気になりますよ。私がいることで、女官さんたちが嫌な思いをしてるのかなあって」

困った桜は、頬をかいた。

「………………」

変わらず、何の感情もないかのような目線を桜に注ぐ。

「私、黙っていられたら、わからないから……言ってくれませんか、何か私がよくないことをしてるのなら」