デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

それを見た瞬間。

自分の部屋の、あの広い寝台の中で、黒髪を幾筋かその赤い顔に貼り付けながら乱れる彼女の姿が、脳裏に蘇った。

「!」

王様、もうゆるして……と小さく懇願しながらも、自分の愛撫に悦ぶあの白い身体。
だんだんと羞恥と理性を手放してゆく、あの黒い瞳。

知らず知らずのうちに、その影を乞うように彼は寝台の上に身を横たえた。

「桜………」

もう一度、その甘い香りを肺に入れる。

上がった熱が疼き始める。

はぁ…とそれを逃がすように息をつくが、疼きは止まなかった。

歯を食いしばり、染まった目元を歪ませていたが。

一度ついてしまった火は、消えてくれない。

片腕に顔を突っ伏して、震えるもう片手がその場所へと。

「くっ………う………」

(わ……たしは、何を……)

そう思うが、止まらなかった。

「桜………桜…………」

夢中で、白いストールに唇を寄せた。

やがて一、二度。

その背中が小さく跳ねて、ベッドの上で彼は動きを止めた。

何度か荒い息をついた後、

「くそ………っ!」

バシッ、とベッドのシーツを叩き、藍色の髪を乱して立ち上がる。
今まで味わったことのない屈辱に、唇が震えた。

この私が……こんな。
たった一人の、あの少女を思うだけで。
自分を置いて、神宮なんぞに行ったせいで。

(おのれ………帰ったら、どうしてくれようか)

息も出来ないほど絞まる胸に、唇を噛んだ。