デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

三日目。 

昨日から王宮で、思わぬ人数の人間に帰りを心待ちにされているとも知らず、呑気に宮の中を歩き回っていた。
たまに分化の間に行き、厳重に鍵がかけられた重い扉にそっと触れて、エヴァの心の平安を祈っていた。

(明日になったら、新しいエヴァさんに会えますね)

知らず、微笑みがこぼれた。

(男の人かな、女の人かな。どっちにしても、やっぱりきれいなんだろうなあ)

そっと、その木の扉をなでる。

(明日はこの扉の前で待ってますからね、エヴァさん。だから早く出てきてね)

そう思ったとき、ふと誕生日の贈り物を何も持ってきていないことに気づいた。

(しまった……急いで飛び出してきちゃったから……)

頭をかいたが、どうにもならない。

王宮に帰ってから、改めて贈り直そう。そう思った。

それに、明日エヴァの分化が終わったのを見届けたら、王宮に帰るわけだ。

(王様、待っててくれるかなぁ。また、裏門に迎えに来てくれたら、嬉しいな)

あのきれいな月毛の馬に、また一緒に乗りたい。

(早く会って……ぎゅって、してほしいな)

あの温かな腕で。

ポッと頬を染めて、そんな小さな望みを山から吹く風に託した。