デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

臣下の受難は続いていた。

「各統括部の視察を行う」

謁見が終わったと思ったら、そう王が言い出したものだから皆顔が青くなった。

桜がカナンと出かけた時と同じパターンだ。

「わ、我が君、なにとぞ一刻ほどの猶予を」

あわてて重臣の一人がひざまずく。

「なぜだ」

「皆の準備のためでございます」

それを聞いて、冷たい表情をサディスティックに歪めて嘲笑う。

「準備?何の準備だ。不正の隠蔽か?」

「いえっ、そのような」

「先だっての視察の際、予が不明瞭な点や矛盾点を全て指摘したな。改善してあるかどうか見るだけだ。行くぞ」

「しかし……今十分な人手がないところもあるかもわかりませぬ、我が君をお迎えする準備が万全に出来ません」

「そんなもの要らん。ありのままを見なければ、王の視察なんぞに何の意味がある。これ以上汝らと問答するつもりはない。そこをどけ」

低い声で言い、皆押し黙った。

そして重臣は、心の中で統括部で働く者たちに合掌する。

ああ……気の毒に。南無。