デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

エヴァは桜が自由に振る舞えるように言っておいてくれたらしく、桜は神宮の中をプラプラ散策していた。

王宮ほどではないがここも相当な広さなので、ちょっと歩いただけでは回りきれない。

宮の中も武官たちが警備に当たっていたが、彼らが踏み込めない割と奥まで入ることができた。

(でも、どこもかしこも真っ白だから……)

迷子になりそうだ。

全部同じに見える。

王宮のように、必ず何処かに人がいるというわけではない。この広さの割に、信じられない程女官は少ないようだった。

(迷ったら帰れなくなりそう……。戻ろ)

少し慌てて桜は回れ右をする。

(字を読む勉強、しとけばよかったかも)

頭をかきながら思った。

こっちの本も読めるようになっといたほうがいいよね。

王宮に帰ったら、誰かに教えてもらおう。

外に面した廊下を歩きながら、曇り始めた空を見上げた。

蒸し暑い。また雨が降るのかもしれない。

神告などない世界から来た桜は、こちらの人間ほどこの分化の期間を重く受け止めてはいない。

「王様、どうしてるかなあ。まだお仕事かな?」

たった一泊しただけなのに、もう会いたいな。

そうささやかに思って、少し頬を染めた。