デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

意外なことに、エヴァの分化の間のすぐ近くに部屋は用意されていた。
以前の訪問で、自分のこの外見からここの女官にあまり良く思われてはいないはずと思っていたので、少し意外だ。

「……いいんですか?エヴァさんのすぐ近くですけど」

思わず案内した女官に言うと、無表情なまま、唇だけを動かす。

「神児様が、どうしてもこちらを用意せよとおっしゃったゆえです」

「あ……そ、そうですか」

少し気まずく指をもてあそぶ。

では、と一礼し、女官が姿を消した。

しん、と静かな部屋で、桜は一つ息をついた。

今日からここに三泊。エヴァのためとは言え、女官たちの無表情にはなかなか慣れない。
普段フラウやルネと話をしているから、余計にそう思った。

それから………

もうほとんど無理やり王宮を出てきたが、結局王は裏門まで見送ってくれた。

不安だと言っていた、あの寂しげな瞳のまま。

シクシクと胸が痛むが、桜は首を振った。

(ちゃんと帰ってきますよ。ずっと一緒にいますよ)

神宮からきちんと彼のもとに帰ったところを見せれば、彼ももうこれからは不安を感じることもないはず。私を信じてくれる。そう思ったのだ。

そして、自分の胸にもある、このしつこい不安も。