デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

(熱い……)

支えて歩く神児の熱に驚きながら、廊下を行く。

周りには女官たちが静かに、けれど桜から目を離すことなくついてきていた。

「エヴァさん……すごい熱……」

きゅっとエヴァの肩を抱く手に力を込めると、わずかに桜へ顔を向け、薄っすらと微笑む。

「大丈夫……分化による……熱ですから……。清水…の、桶に……体を浸せば………すぐに、治まります……」

ふふ、と息を吐いた。

「あなたに……こうやって、支えてもらえるなら……もう少し、ねばっても……良かったか……な……」

「何言ってるんですか、もう……。分化が終わった後だって、私でよかったら……エヴァさんに肩くらい貸しますよ」

小さく呆れて、よいしょ、とまたその細い体を支え直した。

「…………」

熱で潤むアイスブルーの瞳が、そっと桜の横顔を見る。


――誰なんでしょうね、あなたの心を勝ち得た、その人は。

羨ましくてたまらない。あなたに愛されるなんて、どんなに幸せなことでしょうね。

神力を使えば、あなたの心を読めるけれど。

あなたにそんな神力は使いたくない。

人間と人間でいたいんです。

なるべく、あなたと近い存在でありたいんです。

共にいられなくとも、せめて………。