デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「…………」

うなずいて、そっとわずかに身を離した。

その黒い瞳を見つめ、彼女の白い頬に手を充てがう。

ゆっくり、顔を寄せた。

熱に揺れるアイスブルーの眼差しが、その唇を見つめた。

――チュッ。

『まだ、男性ではない』という、ほんのわずかのためらいが、桜の頬へとその場所を変えさせた。

「ひゃっ!エ、エヴァさん!な、何?!」

それでも桜は飛び上がり、顔を赤くする。

ふふ、と辛そうな息の下ながら、ニコッと笑った。


「……親愛……の…キス……くらい、誰でも……するでしょう?」

「しないですよ!もう!」

顔を手であおぎながら、桜は膨れてみせる。

「ダメですよ、簡単にそういうのは。その…、エヴァさんの奥さんか、旦那さんになる人に、取っておいて?」

その言葉に眉根を寄せて、哀しく笑った後にうなずくエヴァ。

「あなたに……会えてよかった、桜さん……」

よろ、とふらつく足で立ち上がる。

桜が急いでその身を支えた。

「分化の間に行きます」

顔を上げ、静かにきっぱりと言った。