デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

あわててアラエが桜を押しとどめようとした。

「なりません、桜様。御寵姫でいらっしゃるあなたが、王の許しなしに王宮を出るなど」

「放してください。エヴァさんと約束したんです。必ず帰って来ますから」

「自儘をおっしゃいますな。我が君はあなた様の御身をご心配して」

「ワガママ?どういうことですか。何でエヴァさんとの約束を果たすことが、ワガママになるんですか」

困惑に揺れる赤銅色の瞳を、黒い瞳が睨んだ。

「あなたは王の御寵姫です。御身は第一に我が君のためにあられるものではありませんか。神宮になど参ってはなりません」

「私は、王様の家来じゃない!!」

アラエの手を厳しく振り払って言った。

「私は私のものよ。私が王様自身をを好きになったからそばにいたいと思ったの!私の意思なの!命令されるいわれはないわ!」

「!」

心臓をつかまれたように動けなくなり、目は彼女に釘付けになる。

その隙に、さっさと桜は廊下に出ようとした。

と、その時背後の戸が開く音がした。

「桜」

アクセサリーを取った姿の彼がたたずんでいる。

皆一斉に礼をする中、桜だけが振り向いてその目を見た。