デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

森の中での野営は、獣から身を守るために少し大きめに焚き火をする。
結果、火力も強くなるため、イノシシの丸焼きなんてものもできてしまう。

(はぁ……)

マンガやアニメでしか見たことのないような豪快なその料理に、桜は目をみはった。

『うまそーだな。野宿はいやだが、これは好きなんだよな』

食料調達係のシュリもご機嫌だ。

『クマじゃないんだ。こんなに食えるか。塩のムダ使いだ』

三人前にしては大きすぎるメインディッシュを火からおろし、ブツブツ言いながらアスナイが切り分ける。

『明日の昼メシに持っていきゃいいだろ』
『じゃあお前の馬にのせろ。脂で汚れるし、匂いがつく』
『何言ってんだ、明日は俺が桜を乗せる日だぞ。お前の馬だ』
『お前が獲ってきたんだろうが。もう一日くらいどうってことない。明日も桜は俺の馬だ』

分からない言葉の応酬を聞きながら、桜は思う。

(…喧嘩じゃないのよね。…じゃれ合い?)

香ばしい肉の香りをかいで、お腹が鳴りそうになる。