デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~


乱れた夜着を直しながら、桜は息をついた。

さっきの時間から解放されて、ホッとしたような、ちょっぴり残念なような。

(でも、ほんとに何だったんだろ?)

夕餉も終わったこんな時間に、王が寵姫と休んでいる部屋に呼び出しがかかるなんて、よほどのことなのかもしれない。

広すぎる部屋で、桜は一人首をかしげた。

(まあいいや、王様が帰ってきてから聞こう)

そう思いなおして、何か時間つぶししないとな…と考えだす。

(そうだ、新しいゲームの道具でも作っておこう)

思いついて、戸を開け女官を呼んだ。

「お呼びでございますか、桜様」

中年の、夜勤のシフトに入っている女官だろう、きびきびとやってきて膝を折った。

「あのすみません、また硬めの紙、何枚か持ってきてくださいますか」

「かしこまりました」

一礼し、さっと姿を消す。

普段、女官と言えばフラウとルネとしかほとんど話す機会のない桜には、とても事務的で、少しよそよそしくさえ感じるが。

(でも、きっとこれが普通なんだよね)

そう思い、改めてあの二人と、いつの間にかほんとに友達のようになっていたんだな、と心で呟いた。

「深宮で、王様のすぐそばのお部屋に住むのもいいのかもしれないけど…」

でも、やっぱりあの部屋で、二人やアラエとも会いたいな。

カナンやシュリやアスナイとなかなか会えなくなってしまった今、桜はそう思った。