デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

不意に、歯を立てて身をかじられる。

「キャッ!」

ビクンと背中をしならせた。

「よそ見をするな。…こちらを向け」

睨むように白い双丘の間から見据えられ、ますます真っ赤になって、それでも回らない口で言い募った。

「で、でも……夜に、わざわざここまで来られるってことは、大事な事ですよ、きっと……行ってあげて、王様……」

すると今度はニッと冷たく笑われる。

「随分と余裕だな。優しくしすぎたか」

「はっ!?い、いえ、そんな……!っ…あぅ……」

動く指先に、ふるふると体を震わせるが、何とか最後の理性を振り絞って言った。

「ね、王様……ここは行って来てください……。そこに女官さん、待ってるんでしょう?他の人に声とか聞かれるの、恥ずかしい……」

「………」

熱に潤む黒い瞳に、彼はごくりと生唾を飲み込んだ。

「わ、私あの……待ってますから、ここで。だから、ね?」

その言葉に負けて、ついにそのしなやかな身を起こす。

不機嫌全開のため息を鋭くついて、乱暴にシャツを着た。

「……大したことのない用件だったなら、呼んだ人間を牢に叩き込んでやる」

大きく舌打ちをし、一度桜の額に口づけして部屋を出ていった。