デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

ソファに二人で折り重なり、狂おしく甘い空気が流れはじめる。

時折、たまらず上げられる桜の声と、深くて熱い息と、彼女の肌を、その手と唇が貪る音がするばかりで、会話はない。

その夜着を引き剥がし、深く口づけながら自らも帯を解いた。

「もっとだ……。もっと啼け、もっと狂え、桜……私に。我慢などするな」

背中に這い上がる欲望に、顔を歪めて薄く笑いながら、彼女をもっと妖しい感覚に引きずり込もうとしていたその時。

部屋の戸が無機質に叩かれた。

「あ…」

「我が君。お休み中に失礼いたします。火急の事にて、公宮にお越しをとのことでございます」

静かな女官の声がする。

桜はあわてて自分の胸に顔を埋めている彼の肩を小さく叩くが。

――無視。

「おう、様……女官さんが……お仕事って……」

その愛撫に震えながら、とぎれとぎれに返事をうながした。

だが聞こえていないかのように、顔を上げる気配はない。

「王様……急いでるっ……て、言ってますよ……」

「………」

「王様が行かないと……みんな困るんじゃないんですか?」