デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

その声音にぎょっとして身を引こうとするが、肩に回された腕がびくともしない。

「………アラエと、随分仲良くなったな。香りを確かめ合うまでに」

静かな言葉なのに、桜は身が震えた。

「な、仲良くって……そんな、変な意味じゃなくて」

すると肩に回した手が外され、今度は後頭部の髪が握られる感覚がした。

痛くはないが、まるで万力のような強さを感じる。

「お前は、私の寵姫になった。身も心も。そうだな?」

紫の瞳は、まるで……死んでいるかのように静かだ。

「はい……」

目をそらせず、ぎこちなくうなずく。

「お前は私を選んだ。私に、その純潔を捧げてくれた。そうだろう?」

またうなずくと、ゆっくりとその唇だけが、微笑の形になる。

「だから、私はお前を守ろう。すべてのものから。私の全身全霊で、お前を愛そう。この先ずっと」

「王様……」

「だが」

ガラッと、低く恐ろしい声になる。

両の二の腕をつかまれ、グイッと強く引き寄せられた。