デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

固い雰囲気のまま、アラエと桜は渡り廊下を歩く。

「あの……アラエさん?私何か、アラエさんに失礼なことしてしまいましたか」

後ろから、桜の声がかかった。

近侍の立場を忘れてずんずん行っていた彼は、ハッと我に返り振り向いた。

「い……いえ。申し訳ございません」

「おととい、アラエさんのこと、『腹黒』て言ったから?」

叱られた子供のような顔をして、彼を見る。

「違います」

「じゃ、何で……」

困って聞く彼女に何と言うこともできずに、押し黙った。

「……分かりません」

「え」

もう苛立ちを隠そうとせずに、顔をしかめて横を向いた。

「あなた様を見ると、イライラします」

「……」

「余裕がなくなる。宮中で生きる自分が保てなくなりそうで、なるべく関わりたくない。失礼ながら、あなた様のお姿も、私の個人的な好みとは真逆です」

向けられる厳しい言葉を、桜は目を丸くして聞いていた。

「我が君の……御気がしれない。なのに………」

「………」

「あなたのせいです」

心のままに、もつれてわけがわからなくなった感情を吐露した。