小さな朝焼けの光が部屋に差す頃、王の上衣の帯を締めた彼は、寝台を振り返った。

広い掛け布団に埋もれ、薄暗い中にも白いその顔が寝息をたてていた。

そっと歩み寄り、寝顔を見つめる。

(結局無理をさせた……しばらく起きまいな)


昨夜、彼女を解放した時間を考えると。

少し顔を赤くして、バツが悪そうにその額に軽く唇を当てた。

「……お前が愛らしいから悪いのだ」


密やかに笑って言い、名残惜しげに身を離す。

起こさないように気をつけて戸の外へ出て、廊下を歩き出した。

(やはり、たまには休日を持とう)

心に決めて、さてあの頭の固い大臣以下の重臣をどう説得するかな、と考えていた。

廊下に深く礼をする何人かの女官たちに声をかける。

「面を上げよ。言い置く事がある」

「はい」

「部屋で、我が客人が……いや、私の寵姫がまだ休んでいる。構わぬから、好きなだけ眠らせてやり、起きたら湯殿の用意をせよ」

「かしこまりましてございます」

深く礼をする彼女らに一つうなずいて、執務のため公宮へと足を向けた。