デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

後ろでシュリがそんな事を考えているとも知らず。

「…………」
『………』

赤紫の馬上では、ぎこちない空気が漂っていた。

何か粗相をしたらまた怒られてしまうと思い、ひたすら静かに、失敗しないよう必死な桜。

もう怖がらせないよう安心させたいのに、そのすべが分からないアスナイ。

(…全く、柄にもない)

心の中でため息をつく。
今まで他人からどう思われようが気にしてこなかったため、この状況はアスナイにとってかなり特殊だった。
目の前の桜の背中から、並々ならぬ緊張が伝わってくる。

(そうさせているのは、俺だな…)

また、罪悪感が小さく胸を刺した。

サラサラと草原を吹く風が、桜の漆黒の髪を揺らす。