デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

(いちいち恥ずかしいよ、言うことが!)

パタパタと火照った顔をオセロの盤であおぎながら、桜はきゅっと唇を噛んだ。

はーぁ、と息をついて、豪華な照明の天井を見上げる。

(……こんな事になるなんてなぁ……)

本当に、なんて運命だろう。

ただのデブスで、ひっそり生きていこうと決めていた自分が、全くの異世界に流されて。

どうにか生き延びることが出来て。

たくさん大切な人が出来て………。

大好きな人までできた。そしてその人も、私を望んでくれて。

これからはきっと、ずっと一緒。

ずっと。

(……………?)

ざわ、とまた胸の不安が巻き起こる。

(これ、何だろう……?)


―――とっくに気づいているのに、目を閉じているんだよ。考えないようにしているんだよ。私はあの人を愛しているからね。


驚くほど冷静な自分の声が、頭に聞こえた気がした。


――直視しないといけないのに。避けては通れないのに。逃げてはいけないよ。


どきり、と心臓がいやな音を立て、後頭部に汗が浮かんだようにヒヤリとした。