デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

その広い部屋に入って、並んでソファに座るとすぐに、女官が夕餉を持ってきた。

今まで王と食事をした事は二回あったが、床の絨毯の上で向かい合ってとっていたため、桜はソファを降りようと腰を浮かしたが。

「このまま食事をする。我らの前に膳を置け」

静かな命令と同時に、そっとその手が引き戻された。

思わず女官が一度固まって、

「わが君が……他の方と…並んで、お食事をお召し上がりになるのですか」

いつもの淡々とした表情を驚きにした。

それに軽くうなずいて見せて、目でうながす。

「そうだ。構わん、この娘がただの我が客人でないことくらい、もう皆知っていよう?早く致せ」

「は……はい」

あわてて女官たちは膳を置き始める。

開き直っている王は涼しい顔でそれを見ていたが、桜は恥ずかしさにどぎまぎしていた。

女官達が退出して、おずおずと彼に聞く。

「い……いいんですか?あんなこと言っちゃって……」

その心配そうな顔に、笑ってうなずいた。

「ああ。私の寵愛が特定の誰かに注がれること自体は特に問題ではないのだ。ただそれによって政治が乱れたり……そなたが、宮中の厄介事に巻き込まれなければな」

「そうなんですか…」

「そうだ。寵姫を持つなら、常に身の回りに気を配って、守ってやらねばならんからな。今まではそんな面倒をかけてまでそばに置きたい女などいなかった」