デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「……」

耳まで真っ赤になりながら桜はうなずいたが、

「もし、まだ迷っているなら……無理をしているなら、構わないから自分の部屋に帰るがいい」

優しい声に、思わず驚いて顔を上げた。

「言っただろう?無理強いはしたくない」

微笑んでそのまま何度か頬をなでた後、ピタリと止めた。

「部屋に入ったら、もう明日の朝まで帰してはやれない。そんなに忍耐強くなれるほど、私はそなたに対して出来た人間ではない」

「王様……」

こくん、と彼の喉が鳴る音が小さく聞こえた。

「どうする?桜」

大事にしたい、傷つけたくないという優しさが伝わってきて、胸が震える。

自然と微笑みの表情になる。

「入れてください……王様」

顔は真っ赤なままだが、その黒い瞳はまっすぐに目の前の美しい顔を見た。

「一緒にいたいです、明日の朝まで……」

おずおずと、その白いシャツの胸に頭を預ける。

「その……こんな、何も持たない私で良かったら……」

もう一度、喉の鳴る音が頭上で聞こえた。