デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

渡り廊下に着いたときには、もう空の色が青から紺へと移ろうとしていた。

自然と手をつなぎ、深宮へと歩き始める。

二人の足音だけが聞こえて、会話はあまりなかった。

(な……なんかもう、今から緊張してきた)

自分の余裕のなさに余計に恥ずかしくなって、うつむいてまばたきした。

なので、少し自分の先を歩いて手を引く王が、同じように固い表情で目元を染めながら、視線をさまよわせていたのは見えずじまいだった。

そのまま何となくぎこちなく沈黙して、それでもつないだ手は離さずに深宮へ。

入り口に着いたとき、女官さんに見られたら良くないんじゃないかな、と手を外そうとしたが、そのまま彼はずんずん歩いていく。

誰に見られても全く構わないと言わんばかりのその様子に、またポッと頬を染めた。

静かな廊下を進んで、あの大きな戸の前に着く。

ぴた、と二人は足を止めた。

するとおもむろに王が桜を振り返り、静かな表情で言う。

「桜」

「はい」

「そなたを愛している。そして……そなたも私の心を欲してくれた」

ますます赤くなって、「はい……」と小さく返事をした。

「今夜は、そなたは私とここに泊まる」

「ええ……」

熱っぽく瞳を揺らしながら、桜の頬にそっと手を添えた。

「……どういう意味か、分かるな?」