デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

後ろからそっと桜を抱いて言う。

「そなたは私を選んでくれた。なら、その選択を後悔させないくらい、大事にしたい。大変な思いなどさせたくない」

「王様……」

「私だけを思って、私の帰りを部屋で待っていて欲しい。仕事など……。他の男の目に、もうさらしたくない」

呟くその声は低く小さかったが、真剣だった。

「……他の誰がいなくなっても、そなただけはもう失いたくない。一緒だ……ずっと」

(……………)

ふと、桜の胸にまた、得体の知れない不安が湧きおこる。

(どうしたんだろ?何か、私……見落としているような)

この人といる上で、単純だけどすごく大事な事を。

けれど、やはりそれはわからずに、困ったように笑ってみせた。

「でも王様、この間はいいって言ってくれたじゃないですか。それに、せっかくシディさんに服も作ってもらったし」

「だが……」

「王様がお仕事から帰ってくるまでには、ちゃんとアラエさんのお迎えに間に合うようにしておきますから」

言いつのる桜に、顔をしかめたまま渋々うなずいた。

「だが怪我をしたり、他の男に言い寄られたりしたら、すぐに中止させるからな。わかったな」