デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

『…本当に大丈夫なんだろうな』

翌日の朝。
準備が整い、出発するだけとなった馬を前にして、腕組みしながらじとっと同期を睨みつけるシュリがいた。

『大丈夫だと言っているだろう。お前の馬が潰れたら、旅が続けられん』

何度めかの問答に、ウンザリして横を向くアスナイ。
いつもなら一喝して黙らせるところだが、今回ばかりは自分に非があるためそうもいかない。

昨日、桜はシュリと騎乗した。
馬の負担を考えると、二人乗りは日替わりで交互にした方がいいと提案したのだが。

『お前と一緒に乗ったら、またこいつに辛くあたるだろ』

と、赤髪の相棒はなかなか首を縦に振ろうとしない。

当の桜は、何やらこじれている二人の様子を気にしながら、こわごわ馬の鼻をなでていた。

(馬は、地球とそっくりだな)

それぞれ毛並みは赤紫、青紫というカラーリングだが、大人しくて見た目も桜に馴染みが深い。

『…もうそんな真似はしない。確かにあの娘を見ると苛つくことがあるが、傷つけはしない』

アスナイにしては珍しく、率直に自分の気持を口にした。