デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

首をかしげる彼に微笑んで、

「私、あんまり上手じゃないんですけど……」

腕を振りかぶって、ヒュッと一直線に投げる。

石は水面で二度跳ねた後、しぶきを上げて沈んだ。

「ほう……」

初めて見たらしく、瞳を輝かせている。

『魔』の非情な掃討や、この広い国の政治を担うほど見識深く聡明なのに、こんな子供のするような遊びは全くの無知だ。

そのアンバランスさに、桜は少し笑った。

「やってみて、王様。コツは……ちょっと平たい石を、なるべく水面に平行に投げることなんだけど」

「ふむ」

彼も石を探し出した。

「これでやってみるか……。そうだ、そなたは二度跳ねていたな。では私は三度だ」

「ええ?初めてですよね王様。三度って割と上手い人ですよ。無理じゃないかなあ」

「いや、出来る。そなたには負けん」

ツンと澄まして見せるその横顔。

「また始まった……」

少し呆れると、ニヤッと彼は笑い、「なら」と続けた。

「私が勝ったら、またそなたから口づけを貰おうか」

「えっ?!」

素っ頓狂な声を出し、固まる彼女に片目をつぶって、腕を振りかぶった。