デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

日の光が降り注ぐ小さな木立を抜けると、渡り廊下の下にも広がる、大きな池のほとりに出た。

芝のような短い草が生えていて、座るのにちょうどよさそうだった。

(ほんと、建物の中っていうのを忘れそうになるなあ)

「王様、座るならこのへんでいいかもです」

そう言って、二人は馬を降りた。

手綱を近くの木に縛っている間に、桜は木陰に持ってきた敷物を広げる。

バスケットから茶を取り出して注いだ。

隣に座る彼に手渡すと、菓子の皿を取り出す。

その様子を見つめて、王はふっと笑った。

「?……どうしました?」

「いや……」

不思議そうに首をかしげる桜に笑ってみせる。

「妻とはこういうものかと思ってな」

「へっ」

不意打ちに固まって、紫の目を見返した。

「国民の幸せのためにと思って今まで政治をしてきたが……実際その幸せがどんなものかは、私は知らなかったからな」

「王様…」

揺れる光の中、そっと目を閉じて胸に手を当てる。

「もし、皆のこんな……こんな喜びを、私が守れていたのだとしたら、誇らしいことだ」

穏やかな声で呟いた。