デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

う、と口をつぐんだ後、また開く。

「だ、だってそれは……全部大事な事だったんだもの。カナンの事だって、エヴァさんの事だって」

「ふうん?」

片眉を上げる王。

「この怪我だって……王様が食べられちゃうと思ったから、夢中で」

少し顔を赤くしてうつむいた。

すると、ふふ、と笑う気配がして、彼女を抱く腕に力がこもった。

「分かっている。……ありがとう、桜。まだそなたの無謀とも言える勇気に、礼を言ってなかったな」

「はあ、王様まで無謀って言う…」

少し声を立てて笑ったあと、そのひんやりした手が左腕をなでた。

「どうだ?傷は……包帯はもうしておらぬようだが」

ああ、と言って、少し興奮気味に桜は白いワンピースの半袖をめくって見せる。

「もうすっかり。すごいです。たった2日で、あんな深い傷が治っちゃった」

傷はすっかり消えて、その真っ白な肌にわずかに赤みを残すのみだ。

王は満足そうにうなずいて、唇を持ち上げた。

「そうか。良かったな、神力のなせる業だ。……どうだ桜、そなたの世界のカガクではこうはいくまい?」

紙飛行機の仕返しか、ふふんと澄まして見せる。