デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

昼食の膳を下げに来たときに、フラウとルネが桜にバスケットのようなカゴを手渡した。

「桜様、お二人分のお茶とお菓子が入ってございます」

「わ、ありがとうございます」

微笑んでそれを受け取る。

ルネがポケットから小さな小瓶を出した。

「恐れ入ります桜様、お手を」

「?」

差し出した手首の内側に、シュッと何かを吹きかけた。

「トワレですわ。僭越ながら桜様に選ばせていただきましたの」

フワ、と清楚な花の香り。

「いい香り……」

ふんふんと鼻を動かすと、二人はにこっと微笑んだ。

「我が君と素敵な時間をお過ごしくださいませね、桜様」

満足そうに言うその表情がたまらなく嬉しい。

心から自分の幸せを願ってくれているのが分かるから。

思わず、二人をきゅっと腕に抱きしめた。

「さ、桜様」

驚く女官達は思わず固まる。

「ありがとうございます、フラウさん、ルネさん。この世界に来て一番よかった事の一つが、お二人と出会えたことです」

優しく感謝の言葉を言う桜の頭の後ろで、二人ははにかんでポッと頬を染めた。