デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

桜はじりっ、と後ずさりした。

黒い瞳をまたたかせ、口には引きつった笑いが浮かんでいる。

「さぁ、桜様。仕上げのお手入れをいたしますわ」

有無を言わせない微笑みのフラウとルネが、体を拭く布とボディクリームを手に朝の湯殿へとうながした。

「いや……あの……昨日十分やって頂いたから」

「いーえ。念には念ですわ」

「そうですわ。さあ」

「で、でもあの……却って恥ずかしくないですか、こんな……準備万端な感じって……やる気満々て感じで……」

「「いーえ、可愛いと思われこそすれ、そんなことはございませんわ」」

「……………」

こういうことには全くうといから仕方がないし、二人がばっちりサポートしてくれるのは有り難いのだが……

(もうなんか……そ、その…初めて……なのに……恥も何もないなぁ……)

こんなオープンでいいの?と赤くなりながら思う。

普通こういうのって、密やかに、流れに任せてするもので。

この場合、『今日の夜やりますから!!』って言ってるようなものだ。
いくら二人が女官で同性でも、風情もへったくれもない。

(あ、でも)

そもそも自分が王に『明日まで待って』って言ったんだっけ………

そうだ……『明日やりましょう!!』て言ったのと同じじゃん。

ますます赤くなり、今更か……と観念して湯殿に入った。

(はぁ………少女漫画みたいにはいかないや……)