デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

『桜さん、お祝いの言葉をありがとうございます。それだけで最高の贈り物です』

ソファに座った桜の指先に止まった小鳥が、エヴァの声を伝える。

『分化が始まりそうになったら、王宮へ使いを出します。王が許してくれるといいんですが』

少し苦笑いする気配がした。

『でも……許してもらいたい。あなたが来てくれると思えば、何も怖くありません』

いじらしいなあと思いながら、なおも耳を傾ける。

『あなたの怪我のことは聞きました』

少しトーンが低くなり、少しの間沈黙する。

『本当に……本当に回復して良かった。第三者に情報が漏れてもいいから、『魔』の襲撃があるとはっきり言えばよかったと悔やみました』

絞り出すような声だ。

『……生まれて初めて、神宮の外に出られないこの身が口惜しくてたまらなかった。本当ならすぐに飛んでいって、私があなたを癒やしたかったです』

「エヴァさん……」

『神に祈るしかできなくて………何て無力なんだと思いました。神力を持っていても、使えなければ意味はない。せめて王のように、あなたの側にいたかった』

心底心配してくれたんだな……と桜は少し微笑んだ。

こんなに熱を持った言葉を言ってくれるなんて。

(最高のお友達、持てたなあ)

桜はただただそう思う。

エヴァが一人、どんな表情で、この言葉を懐紙に話していたかも知らず。

『桜さん。万が一傷が残ったり、ずっと痛むようなら、すぐに神宮に来てくださいね。私が必ず治しますから。……では、また近いうちにお会いできますよう』

小さな祈りで、エヴァの言葉は終わった。