デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

固い空気のまま、アラエはさっさと出て行ってしまった。

「…?」

私…何かおかしな事言ったっけ?

(腹黒って言っちゃったからかな……)

しまった……と少ししゅんとして、空のグラスを持って部屋の中へ戻った。

ふとそれに目を落とし。

……カナンを思う。

(元気かなあ)

好きな子と、うまくいってるかな。

(美人だし優しいから、きっとうまくいってるよね)

私が怪我したの、知ってるのかな?何か大ごとだったみたいだから、多分知ってるよね。

(心配かけちゃったかも……ごめんね、カナン。大丈夫だからね)

そっと外に面する障子を開けて、公宮の方を見る。

(まだお仕事してるのかな。でも、もうお役目変わったから帰って好きな子と一緒にいるかもね)

少し微笑んだ後、目線を動かして、遠くに見える深宮の明かりを見つめた。

早く、明日のお昼にならないかな。

王様と庭でお茶なんて、楽しみだなあと思いながら、少し頬を染めた。

それから……。

好きな人が、自分を望んでくれている。

そして私も、あの人を望んでいる。

(すごい恥ずかしいし緊張はしちゃうけど……)

もっと顔を赤くして、きゅっと唇を結んだところで、エヴァからの白い小鳥が帰ってきた。