デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

と、桜が声をたてて笑った。

「!?」

「あはは!なあんだ、アラエさん結構腹黒だったんだ!やっぱりキツイ事言うんですね」

「は………」

「何だかいつもニコニコしてて、あまりどういう人かはっきり分からなかったから。でも、何か安心しました」

「……………」

ふっと、桜が笑い声をおさめて微笑む。

「それでいいです、アラエさん。私には無理して笑わないでください。この間言ったみたいに、私に取り入っても何の得もないですけど」

「桜様……」

「でも、逆に私に何言ったって、別に損もないですから」

ね、とまた大きく笑うその顔。

醜いと思っていたはずのそれに、ドキリと心臓がはねる。

「分かりました……ご客人が、……桜様がそうおっしゃるなら」

少しぶっきらぼうに言い、目をそらした。

空っぽだった心に温かさが満ちて、ため息になってあふれそうだ。

『本音で話す』ということは、こんなに安心するものだっただろうか……。

ふっとその眼差しをゆるめて、グラスに口をつける桜の横顔を見る。
口を開いて、柄にもない優しい感謝の言葉が出そうになった時。

桜がこちらを見た。

「そうだアラエさん、カナンは元気ですか?」

「え……」

「思い出しちゃって。……カナンとも、時々こうやってお茶飲んで、つまんない言い合いしてました」

「……………」

「アラエさ」

「存じません」

冷たく言って立ち上がった。