デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「………」

目を丸くするアラエ。

「だから、『この人を死なせたくない』って、それだけだったんです。あ!でもねアラエさん」

なおも桜は話した。

「かえって王様に怒られたんですよ。……よく考えたらヒドイですよねえ、こっちは死にそうになってるのに、『馬鹿!』ですよ」

くすくす笑う桜を、目を細めて見つめた。

その屈託のない笑い顔が、赤銅色の瞳と心に焼きつく。

「それは……我が君のおっしゃるとおりでは」

「ええ?そうかな。普通『大丈夫か』とかじゃないですか?」

「無謀です。お叱りを受けても仕方がないかと」

「う……シュリさんにも言われたんですよ、私は無謀だって」

「シュリ殿でなくともそれは誰でも言います」

「じっとできなくて……」

「無能の働き者は、有能の怠け者よりたちが悪いのです」

言ってしまってから、しまった!と口をつぐんだ。いつの間にか、素の自分がむき出しになっていた。

桜の方を見ることができず、冷や汗が吹き出す。