デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

不思議な人だなぁ、と桜は思った。

ニッコリ笑って優しく丁寧な態度を取ったかと思えば、昼にアスナイを連れてきた時のように冷静な顔も見せる。かと思えば、ほんの少し、素の表情を見せることもある。

それを引き起こしているのが自分だとは露知らず、少しまばたきした。

今は………何だろう、何だか困った顔をしている。

「お仕事、今までかかったんですか?」

とりあえず声をかけた。

「は………。そう、です。桜様の……そう、お怪我がいかがかと気になりまして」

急いでニコッと笑った。

「ああ、もうほとんどいいですよ。ほら」

右腕と何ら変わらない動きをしてみせる。

「良うございました……本当に」

少し目をそらすアラエに、桜は微笑む。

「ありがとうございますアラエさん、お仕事で疲れてるのに、わざわざ私の事まで」

アラエの嘘に、本当の感謝を言う。

「いえ………」

その真っ直ぐな黒の瞳を直視できずに、曖昧に笑ってうつむいた。

「あ、そうだ。お茶飲んで行きませんか、アラエさん」

「!」

「良かったらですけど」

「………いただきます」

少し目元を赤くして、一礼する。