デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

間髪入れずに、短く答える。

その事務的な声に、彼女はますます不安になった。

そっとベッドから降りて、上衣の帯を締める彼の背中に身を寄せる。

「じゃあ、いつ……アラエのお部屋に入れてくれるの?」

うんざりして、くるりと振り向いて睨みつけた。

「そのうちと言ってるだろ。いいぞ?別に私のことが信じられないならそれで」

「あっ……」

「お前のことは好きだ」

扱いやすいし、居心地は悪くないから。

「だが、話の分からん女は嫌いだ」

「!」

そう言って、足早に部屋を出ていこうとする。

「ま、まって……アラエ」

あわてて素肌のまま、やっとのことで恋人の地位を得た彼にすがった。

「ごめんなさい………捨てないで。あなたのためなら私何でもするから……」

その言葉を聞いて、また彼女に振り向いた。

「じゃあお前、私が襲われそうになったら、『魔』に自分が喰われてもいいか?」

「えっ……?」

「私をかばって『魔』の爪に引き裂かれても、満足して死んでいけるか」

「な……何言ってるの、アラエ……?」

女の引きつった笑いを一瞥し、彼は冷笑した。

「……まぁ、そうだよな。普通は」

あの黒髪の少女が、心に浮かぶ。

カナンに対しても王に対しても、彼女は情を持った相手には全力だ。

何と答えたら自分に嫌われないか、必死に考えている目の前の女を見ていると、無性に虚しくなった。