「失礼いたします。我が君、桜様、お膳をお下げ………あら?」
夜になり、桜の部屋の戸をそっと開けたフラウが、間の抜けた声を出した。
すでに王の姿は無く、桜がちょこんとソファに座っていた。
「桜様、もう我が君は深宮にお戻りですの?」
ルネが聞く。
「あ、はい……」
見ると、口を結んで、黒の瞳が潤んで揺れている。
その頬は赤かった。
「桜様……?お体の具合でも」
二人が首をかしげると、はぁ……と桜がため息をついて頭を抱え、困った顔を向けた。
「フラウさん…ルネさん………私どうしよ……ほんと信じらんない。あんな事自分から言うなんて」
その表情に、急いで二人がソファに駆け寄ってひざまずき、桜に目線を合わせた。
「どうなさいましたの……?私共でよければ、お話くださいませ」
しばらく口をつぐんで迷っていたが、小さくうなずいてさっきの時間の話をした。
あまり詳しく言えないコトが多かったが……。
聞いていくうちに、二人の目が輝き始めた。少し頬を染めて、静かに興奮している。
「明日、そういう訳で王様のお部屋に泊まるんですけど……緊張っていうか……何であんなこと言ったのかなぁ……」
冷静になってみると、とんでもない事を自分から言った気がする。
