夕陽のさす中、部屋に戻って来た桜。

ぽすん、とソファに腰掛けて、ぼんやりと少しずつ暗くなっていく部屋を見つめた。

(……寂しいな……)

きっと、もう月3日のお役目もなくなって、シュリともアスナイとも、ほとんど会えなくなるだろう。

カナンとも全然会ってない。

三人が自分のことを好きにならなかったら。

自分が、王のことを好きにならなかったら、ずっと友達で、頼りになる先輩と後輩でいられたのに。

仕方がないとは言え、心にポッカリ穴が空いたようだ。

悲しくて、ソファに横たわった桜は少しだけ泣いた。



人が、自分の周りからいなくなっていくのは寂しい。王様も、そうじゃなかったのかな。



そう思ったとき、ふっと何か得体のしれない不安が胸をよぎった。

「………?」

嫌などきどきが、小さく早鐘を打っていた。

何だろう?私は何か、とんでもない思い違いというか、ひどく間違ったことをしているんじゃ。

なぜか、そんな考えが黒雲のように湧き起こる。

その漠然とした嫌なもやもやを、つとめて無視した。

(不安なんだ、きっと。シュリさんもアスナイさんも、もうあまり会えなくなっちゃったから……)

そう思い直して、頭を振った。