デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

紺色の瞳の不意打ちに、桜はビクリと目を見開いた。

思わず目線が泳ぎ、あわてて顔を伏せる。

「あ、あの…すみません…」

アスナイの目線を痛いほど感じながら、蚊の鳴くような声で頭を下げた。

フウッ、と短く苛立ちを吐き出し、カラン、と持っていたヘラを小鉢へ放ると、つかつかと桜のほうへ歩み寄る。

しゃがみこんで彼女の顎へ手をやると、クイとその顔を自分の方へ向けさせた。

アスナイの冷たい美貌が間近に迫り、体が石になる。

『おい』

尖った声で呼びかけるも、桜はまばたきもしない。

『オドオドと、俺の顔色を伺うな。昨日から不愉快だ』

桜からの返事はなく、ただ黒い瞳が動揺を物語る。
言葉がわからないから通じるはずもないのに、止まらない。

『俺がお前に対して害意がないのは、昨日分かっただろうが。いい加減にその卑屈な態度を止めろ』