「…………」
こくん、とうなずく桜の頭。
「覚えてるか、桜?」
ぽつんと呟くアスナイの声に、桜は顔を上げた。
「お前と王都の街に出た時……あの古本屋で、俺に言ったこと」
「え……?」
「俺の母のためにも、俺はあの親父を見返すくらい幸せにならなければならない、と」
そう言われて思い出した。
あの本屋で、彼の生い立ちを聞いたっけ。
いつもの皮肉な笑いでさらっと流してはいたが、何だかその態度は我慢をしているように見えて。
アスナイさんが頑張って何かに耐えないといけないことがなくなるように、と願って言ったのだ。
「はい、覚えてます」
うなずく桜にたまらず、その心のように切なく顔を歪めて言った。
「それは、お前がいないと実現できない。お前がいないと、俺は幸せになんかなれない」
「!」
見開いて潤む黒い瞳に、ひどい顔の自分が映る。
「あ……」
泣き顔のような表情で、桜が震えはじめた。
「お前だけなんだよ、俺が、努力や知恵で自分の好きにできないと思うのは。だからこそ欲しいんだ。お前に選ばれたい。その何にも流されない強さが欲しい」
「アスナイさん…」
こくん、とうなずく桜の頭。
「覚えてるか、桜?」
ぽつんと呟くアスナイの声に、桜は顔を上げた。
「お前と王都の街に出た時……あの古本屋で、俺に言ったこと」
「え……?」
「俺の母のためにも、俺はあの親父を見返すくらい幸せにならなければならない、と」
そう言われて思い出した。
あの本屋で、彼の生い立ちを聞いたっけ。
いつもの皮肉な笑いでさらっと流してはいたが、何だかその態度は我慢をしているように見えて。
アスナイさんが頑張って何かに耐えないといけないことがなくなるように、と願って言ったのだ。
「はい、覚えてます」
うなずく桜にたまらず、その心のように切なく顔を歪めて言った。
「それは、お前がいないと実現できない。お前がいないと、俺は幸せになんかなれない」
「!」
見開いて潤む黒い瞳に、ひどい顔の自分が映る。
「あ……」
泣き顔のような表情で、桜が震えはじめた。
「お前だけなんだよ、俺が、努力や知恵で自分の好きにできないと思うのは。だからこそ欲しいんだ。お前に選ばれたい。その何にも流されない強さが欲しい」
「アスナイさん…」
