デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

首をかしげながらも戸を閉めて、アスナイのもとへ。

「傷はどうだ、桜」

桜が横に座ると、そっと包帯の巻かれた左腕に触れた。

「あ……もうほとんど傷もふさがっちゃいました。どんどん良くなってますよ」

ふふ、と笑って動かして見せる。

「ありがとうございました、アスナイさん……アスナイさんが応急手当てをしてくれなかったら、私もう目を覚まさなかった」

一度その紺色の瞳を見つめたあと、ふと微笑みを消して目を伏せた。

「………」

その様子を眺めて、アスナイはふっと苦笑いする。

左腕に触れていたその手を、その白い頬へ。

「良かったな。我が君が……さぞお喜びになられただろう?」

「っ!」

ぱっと顔を上げ、驚いた表情で自分を見る桜に、また小さく笑った。

「分かるさ。お前が『魔』に深手を負ったときに。自分の命を顧みず、瀕死の状態でも真っ先にその身の心配をする相手なんて……愛する人間以外に誰がいる?」

「アスナイさん……私…」

切なく眉を寄せ、唇を噛む。

「お前が選んだのは……我が君なんだろ?」

頬から手を外し、暗い瞳で桜の目を見つめた。