デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「アラエさん」

目を丸くする桜。

その顔にニコッと微笑んで一礼した。

「お客様でございます」

そう言うと、そっと体を横にどける。そして代わりに姿を見せたのは。

「桜」

「アスナイさん!」

思わず立ち上がり、早足で歩み寄った。

笑顔になる桜を少し眩しそうに見つめて、彼も笑う。

「我が君に請願したら、お前の部屋に見舞ってもいいとお許しくださったんだ」

ブーツを脱いで、部屋に入った。

「そうなんですね…!ソファに座っててください、アスナイさん」

そう言って、アラエにお礼を言って戸を閉めようとした。

「……桜様」

こそ、とアラエが小声で呼びかける。

「?はい」

「本当に、良うございました……王宮にご帰還なされて」

「あ……、ありがとうございます」

微笑む桜を、その赤銅色の瞳が見つめた。
ふっと、張り付かせていた微笑みが消え、冷徹とも見えるような静かな表情になる。

「……お強い方だったのですね、桜様」

「えっ?」

「私は少し、あなた様を誤解していたようです」

「………?」

桜が不思議そうな顔をすると、またニコッと笑って、「では……」と退出した。