デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「私に対する反逆とも取れる行動だ。………ただではすまぬ。厳しい刑になろう。あれも覚悟しているはずだ」

桜の顔から血の気が引く。

「き、厳しいって……まさか、ずっと出てこれなかったり、し、死刑……」

「………」

否定することなく目を閉じる王に、桜はすがった。

「お願いします王様、それだけはやめて!」

震えながら、その黒い瞳に涙をいっぱい溜めている。

「……法を曲げることはならん。私情をもって量刑を緩めれば、他に示しがつかぬ。統治の妨げになる」

そっと、桜の手を外した。

思わず桜は王の腰に手を回し、体を寄せて泣きながらその胸で頭を振る。

「だめ、だめ……お願い、王様……どうか、どうにかして命だけは取らないで。お願い、お願い………」

柔らかいその肌の感触が服越しにも伝わってきて、王は苦しくため息をついた。

「私の大事な人なんです。初めて優しさをくれた人なの。何でもしますから!シュリさんの罪を、私にも半分かぶせても構いません。だからお願い………」

泣きながら自分の胸にすがる桜は健気でいじらしく、またその心臓がきゅっと甘く絞めあげられる。

ふうー…っ、と深くため息をついた。
もう一度桜を腕に抱き、その黒髪に頬を寄せる。

(いかん……これでは統治者として、王として失格だ)

だが。

「………できうる限りの酌量を加えよう。誰から見ても矛盾のない程度の、だがな」

もう一度息を呑んで、桜が潤む瞳でパッと彼を見た。

苦く笑い、どうしようもなく愛しい娘に呟いた。

「………真の傾国とは、そなたのような娘のことだな」