デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

顔をこすっていた手を真っ赤な両頬で止めて、息をついた。

(……ん?)

キスする前までの、からかうような笑い声が聞こえてこない。
桜の伏せられた目には、寝台に置かれた彼の手が映っていたが、それは微動だにしなかった。

「?……王様?」

どうしたのかな、と恐る恐る顔を上げる。

桜と同じくらいに真っ赤に染まった、美しい顔がそこにあった。
唇をつけたときの角度のまま、目を見開いて固まっている。

「王様?どうしたんですか?」

怪訝そうな桜の声にハッとした表情になり、目を泳がせて横を向いた。

(ど……どうしたんだろう)

王にキスをしたのは初めてではないが、あの時と今とでは場所から意味から全く違う。
だから、不安になる。

(じ、自分から、く、く、口にキスなんてしたこと、ない、し…)

強すぎて痛かった?歯がぶつかっちゃった?勢いつけすぎて、ガッツいたと思われた?

恥ずかしいやら焦るやらで、青くなった。

「ご、ごめんなさい、王様、あの………私…ヘタですよね……」

情けなくて少し涙目になりながら言うと、彼は赤い顔のまま、驚いた顔でこちらを向いた。