デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

逃げ場をなくした桜が動けないでいると、キシ、と音を立てて寝台に腰かけた。

息づかいがわかりそうなほど近くに体を寄せて、その顔をのぞき込んだ。

「ほら」

そのたった十数センチが、桜には大きな壁。

じっと自分を見るきれいな紫の瞳が、熱を持って小さく揺れている。

(こ、こ、告白した途端にこれって………とばし過ぎ)

ついていけない。

が、ついていくしかない。

こくん、と恥ずかしさを飲み込んで。

(ええい!)

―――ちゅっ。

目の前の形のいい唇に、自分のそれを押し当てた。
そしてすぐさま顔を離す。

彼の顔を見られずに、下を向いて回らない口でまくしたてた。

「ちゃんとしましたよ、く、く、口にしましたからね!短いとか言わないでくださいよ!長くしろとか言われてないもん!もう一回とか、なしですからねっ」

ゴシゴシと伏せた顔をこする。

(もう!考えてみたらこっちは怪我人なのに!)

通常あり得ない早さで回復しているが、ドクドクと心臓が暴れて血がめぐって、傷が開きそうだ。