デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「王様……」

「ずっと、何百年も生きてきたのだ。様々な者に会ったし、色んな事があった。けれど……こんなのは、知らない……こんな……」

両手で、顔を覆った。

「こんな、胸が焼けるような嬉しさなど……知らない……!」

まるで本当に泣いているように、肩を震わせていた。

「………」

喜びさえも孤独なその姿に、ぎゅっと愛おしさがこみ上げた。

よいしょ、と右手でどうにかふらつく身を起こす。

そしてそっとその背中に触れて、おずおずと片腕で抱きしめた。

変わらぬ温かさと柔らかさに、ビクッと彼は震えた。

もう少し勇気を出して、桜はその頬ももたせかける。

「嘘でも、夢でもありません」

少し、彼を抱く片腕に力を込めた。

「現実の、そのままのあなたが、好きです」