デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

しばらく二人とも、無言だった。

言ってしまった……と、初めての告白の緊張と恥ずかしさに顔を上げられない桜は、相変わらずシーツを握りしめている。

だから、王の表情は分からなかった。

また少し、静かな空間が横たわる。

だんだんと、不安が桜の胸に広がっていく。

何で、何も言わないんだろう。やっぱり、気が変わったのかな。それとも、また聞こえなかった……?

動悸が激しく、何だか神力で抑えているはずの傷の痛みが疼くようだ。

ややあって、ポツンと声が降ってきた。

「………嘘だ」


そう嘘……………………はあっ!?

あまりと言えばあまりな言葉に、驚いて思わず顔を上げて彼を見た。

その表情は、今にも泣きそうなほど歪んでいた。

息を呑んだが、桜は言う。

「嘘じゃありません」

「では、夢だ。………毎夜のように見る夢」

口元だけを笑いに変えて、またうつむく。

「現実になど、あるわけない……こんな、こんな……どうしようもない……苦しいくらいの……喜びなんて」

頭が振られ、藍色の長い髪がサラサラと揺れた。