デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「……桜」

「?…はい」

急にぎこちなくなった呼びかけに、どうしたのかな?と心で思いながら答えた。

「あれは……本当か」

ぼそっと、王が静かに聞く。

「あれって……?」

まばたきをする、その黒い瞳を見つめる。

少しずつ、彼の目元が染まってきた。

桜の髪を愛おしむ手を止めてしばらく押し黙った後、たまらずその長いまつ毛を伏せた。
ますます自信なげな小さな声で、何とか声を絞り出す。

「そなたが……気を失う前に、私に言っていた……指輪が欲しい、と言うのは」

「!?」

たちまち、ボフッとその頬を赤くした。神力の治癒よりよっぽど早い。

(ええっ?何で!?何で知ってるの!?)

一瞬そう思ったが、だんだんと記憶が戻ってくる。

(そうだ、もう最後だ、死ぬんだと思ったから……つい、言っちゃったんだっけ……)

ぱくぱくと口を開けたり閉めたりしながら、「あう、えと……」と口ごもっていた。